ご利用者様の中には胃ろう等の為、看護師とヘルパーの24時間体制で在宅ケアをさせて頂いている方がいらっしゃいます。
病院からご自宅に戻られた当初は不安だった体調も、在宅のていねいなケアにより2ヶ月・3ヵ月と経過する毎に安定し皆さん驚くほどお元気になられます。これが「自宅のパワー」であり、ご家族の愛情なのだと感動するばかりです。
当事業所では定期的にヘルパーさんの個別研修を行っていますが併せてご利用者様毎のチームの研修も行うようにしています。
◎今回は24時間ケアに入っている、ご利用者様に対するチーム研修の様子をご紹介します。
日 時:2010年5月13日(水)18:00〜19:30
会 場:当社会議室
参加者:管理者2名・看護師2名・常勤ヘルパー5名・登録ヘルパー4名
看護師より
1.病歴と現状を説明
退院前日まで38.0℃台の発熱があり吸引も2時間毎に行う様、病院からの指示でした。吸引の手技に関してもヘルパーの皆様は緊張で一杯だったと思います。丁寧な口腔ケアや体交・排痰法の促しで肺炎も予防され、何より優しい声かけと励ましで徐々に回復されて来ました。
今では吸引回数も減り、呼吸状態も安定されています。皆様の優しく適格なケアに心より感謝します。
2.訪問看護 週5回訪問
看護師の訪問時ヘルパーさんに吸引等をやってもらうことがありますが、それはヘルパーさんの吸引の技術の確認義務があるためですので、協力をお願いします。
3.ヘルパー訪問時に異常発生・緊急時は事務所に連絡。訪看と即連携をとります。
夜間帯は訪看に直コールOKです。
4.訪問介護員の痰吸引解禁
※看護師による研修・ご家族の承諾書が必要
※ご家族の介護負担を軽減する必要がある
5.吸引
※カテーテル 長さ40cm
- ★吸引カテーテルの挿入の長さ(口・鼻)
- ⇒口からは吸引カテーテルの 1/3(10〜13cm)
鼻からは、1/2(20cm)位まで大丈夫です
※1/2以上は挿入しない様にして下さい - ★吸引する時
- ⇒手洗い・手袋(両手)をお願いします
手技的にやりにくかったら看護師に確認し、片手に手袋でも良いです - ★吸引時間(1回の吸引時間)
- ⇒10〜15秒
顔の色や表情の変化も確認して行って下さい
顔や唇の色がむらさきになっている時はやりすぎです - ★吸引カテーテルの消毒
- ⇒ミルトンで消毒しています(夜勤ヘルパーさん)
- ★吸引チューブ
- ⇒カビ等付着するので定期的にそうじをしましょう!!
⇒消毒部位や定期的周期については、別紙表にて示します - ※吸引の回数を減らすために排痰法を基本としケアを行う
排痰法の確認(体位交換・スクイジング・タッピング・叩打法・マッサージ・深呼吸・呼吸リハビリ)
6.胃ろうの注入(看護師・ご家族)
- ★ベット ⇒ 上体 50° 足 16°
- (現在は胃ろう周囲の発赤が強い為、上体 44°、足 14°とし様子をみます)
- ★顎を引く
- ★ボタンに腹部の圧迫はないか確認
- ★注入時・注入後は誤嚥の危険性があるので、急激な腹圧がかかる様なことはなるべく控えゆったりとさせる
- ★咳き込んだ時はあごをひき、ゆっくりと深呼吸させ端坐位などとらせるのもよい
- ★時間帯は気にせず、おさまってから再注入すること
- ★ペグの周囲の汚染について
- ⇒看護師訪問時に確認しています
- ⇒ボタンの周りが汚れていないか?発赤がないか?ボタンが回るかどうか?確認して頂き、汚れていれば清浄綿で拭いて頂き、発赤があればアルメタ軟膏を綿棒でうすく塗布して下さい。
(NS訪問時と寝る前 1/日) - ★ラコール1200ml/日、さ湯は基本500ml/日、他 発汗や入浴等により適宜
- 看護師が指示します。
※気温等により水分調整
※不感蒸泄 ⇒ 1日1000cc位あります
(健康な人は皮膚から900cc、呼気 300cc)
※脱水に気をつける
7.観察をして欲しい事
- ★発汗
- ★尿量
- ★尿性状(色)
- ・色が濃いと水が不足している
・通常、黄色〜淡黄色 - ★熱(微妙な37.0℃とか37.2℃とかも)
- ・体温測定時は腋窩の通気をよくし、こもりをとってから測定のこと
例えば
尿の色がいつもより濃い時(1日を通して観察する事もあります)
↓
脱水かも?
↓
- 発汗していないか?
- 室温・湿度はどうか?
- 痰の量はいつもと比べて多いか?
- 便はいつもと比べてどうか?(下痢・硬便など)
- 次の尿で再度、色を確認してみる
- 意識はボーッとしていないか?
8.薬の管理
- 看護師が行います(小分け作業)
- 看護師が居ない時に薬の処方があった時
- ↓
- ヘルパーの皆様は、袋から使う分だけ出して使って下さい。
看護師が入った時に確認とセットを行います。
9.熱が出た時
- 布団をたくさん掛けていないか?確認
- クーリング(37.5℃以上 本人が暑ければ37.3℃でも)
- 脇をパフパフさせ、ボタンを2つ位はずし少し経ってから体温を測って確認
- ↓
- 熱がこもっていただけで体温が平温になっている事もあります
ヘルパーからの質問
- ☆湿度計について
- ・湿度計の位置が大事
・加湿器を使うと気温が上がるので室内の換気に気を付ける
・窓を開けての換気は喉が痛くなるので注意
・5分位の換気時間とする(風が強い時は)
・マスクをしてもらうと予防になる - ☆咳きこんだ時
- 痰・唾液はとれないので端坐位にしてストレッチをしたり呼吸法を変えてあげると良い
※むせた時は、あごをひいて胸部を広げ深呼吸(右側を下にする)
参加者の感想
- 痰の吸引等 看護師さんにていねいに研修し教えて頂いたので自信をつけることができました。それでも現場でのケアは時として不安になることもありますので、こうして細やかな話し合いができると安心です。これからも必ず参加していきたいと思います。
- 身体介護や吸引など日々看護師さんがチェックしてくれるので力をつけることができたと思います。ヘルパーとしてスキルアップできたことはとてもうれしいです。事故がないよう更に気をつけてがんばっていきたいです。
- 看護師とヘルパーとみんなで力を合わせてケアをして、ご利用者様がここまで元気になられたことはとてもうれしいです。自分1人の力ではとてもできないことで、チームの力はすごいと思いました。苦労も喜びも分かちあえるので自分自身にパワーをもらうことができ、やりがいを感じます。研修は今後も定期的にやって欲しいと思います。