褥瘡という言葉をご存知でしょうか?
医療・介護業界ではご存知の方も多いかと思います。
褥瘡とは寝たきりなどで長時間、同じ姿勢でいることによりその部位が圧迫されることによって血流がうまく循環できなくなり皮膚が壊死(=腐って組織が死ぬ)することです。
早い段階であれば赤くなる紅斑のみですが、壊死が伴い悪化すると、黒色→黄色→赤色、そして最終的に白色と変化していきます。
原因としては知覚の低下、糖尿病、低栄養などがあります。寝たきりや皮下組織の薄い肩甲骨部や仙骨部、腸骨部、肘、足首などの関節部にできやすくなります。
予防としては体位変換して圧をなくすことです。私の勤務する病院では寝たきりなどのリスクが高い患者さんでは2,3時間おきに体位変換し、褥瘡になっていないか確認します。また、患者さん自身に合ったマットレスであるか確認することや体圧分散マットを使うこと、早期にリハビリテーションを開始することも予防になります。
治療としては壊死組織のデブリードマン(感染・壊死した組織を除去し傷口を洗浄化することで他の組織への影響を防ぐ外科的処置のこと)をすることです。他にVit Cや亜鉛などを補給して栄養管理をすることや褥瘡箇所には石鹸等で洗浄すること、軟膏や保湿ガーゼ等で湿潤管理をしておくことが大事です。
先日、長期入院し自宅退院された方が、1ヶ月ほどしたところ、褥瘡からの感染による敗血性ショックで搬送されてきました。原因となった褥瘡の大きさは直径20cm程度のとても大きいものでした。自宅で体位変換等の予防を十分にせず、放置していたことが原因でした。命はとりとめたものの、褥瘡の恐ろしさを再認識しました。
要介護度が上がれば上がるほど、褥瘡リスクは上がります。したがって、日々の観察や褥瘡予防が早期発見・早期治療にとってとても重要だと思います。