重症のコロナ患者が減り、病棟も以前よりも落ち着いてきました。
緊急事態宣言も解除され、日常が少しずつ取り戻されつつある状況かと思います。
そうなると増えるのが交通外傷、つまり交通機関という外力によって生ずる生体の障害を指します。中でも自動車や自動二輪車によるものが多くなる傾向にあると思います。
2020年度の日本における交通事故による死者数は2,839人と統計開始して初めて3,000人を切った最小の死者数だったそうです。2021年上半期(1〜6月)では前年同期から159人減って1198人となったそうです。このままいくと2021年度もさらに少なくなるかもしれません。1999年代後半には年間の交通事故死者数は11,000人程度を推移していましたのでこの20年間でだいぶ少なくなったことがわかります。
医学的進歩や医療体制の拡充、先進的な車両安全装置によるものが大いに影響あると思いますが、今回の減少にはコロナ禍による外出の自粛の影響もあるかと思います。交通外傷が多くなるのはやはり人の行き来が多くなる時、普段で言うと、土日祝日、天気の良い日などが多くなる傾向になります。
交通事故によって搬送される患者は重症度によっては、ドクターヘリやドクターカーなどの出動要請が求められます。
昨今の医療ドラマでも度々取り上げられていると思いますが、現場にドクターが行ってその場で診察、緊急度を判断して処置した上で迅速に医療施設まで運ぶ形になります。
実際にドクターヘリに乗って現場に行った経験がありますが、ヘリの中は機材が多く積まれており、かなり閉鎖的で狭く、エンジン音が大きく、ヘッドフォンマイクを通さないと会話ができないほどです。また、機内はとても暑くなるので夏は大変です。でも、その現場で処置をして医療機関に搬送して一命を取り留めるという経験は何事にも代えがたいものだと思います。
緊急事態宣言が解除され、気が緩み始めると人の移動が活発になり交通事故が増える可能性がとても高くなります。引き続き、感染防止に加えて、車やバイクでの移動の際も細心の注意を払って頂けたらと思います。