コロナが落ち着き、街に活気が戻りつつあります。
コロナによって病院内のシステムも大きく変わりました。その変化の中で弊害も生まれたと個人的に感じており、いくつか述べたいと思います。
私の勤務する病院のシステムの変化として、入院や手術をする場合にはコロナ抗原検査が必須となりました。手術の場合には胸部レントゲン検査も追加して、肺炎のリスクを除外した上で手術が可能となります。手術室で感染が起きると手術室が使えなくなるリスクがあるためです。また、病院では基本的に入院患者さんとの面会は一切禁止となりました。感染リスクを考慮すると当然の措置であることは明らかです。が、そのことによって一部弊害も生まれています。
以前は可能であった面会ができなくなったために、高齢者の入院ケースでは入院中の面会機会がなくなることで、人との接触や刺激が減り、認知機能の低下が進行してしまうことが少なくありません。
入院して病気を治療して治したにも関わらず、認知機能が低下して認知症を発症し、自宅に帰れなくなるというケースが増えました。また、転院調整などもコロナの感染リスクがないかどうかの検査基準が設けられることによって調整が以前より厳しくなり、入院が長引くということが多くなりました。
また、終末期の患者さんの場合は入院することで面会できないために家族と過ごす残りの時間が明らかに少なくなる上、医療介入をどこまですべきかの判断も以前よりも難しくなったと思います。小児病棟では例外を除けば、親がお子さんに接する時間や人数に制限がかかるために、お子さんが寂しい思いをする時間が増えてしまったように思います。
が、これらの弊害を除くと、入院患者の感染リスク減少や病院内でのクラスター発生回避などに大きく寄与したのも事実です。院内のコロナ対策は非常に重要で効果があったとも個人的には思います。
コロナワクチンの2回接種率が9,200万人を超え、国民全体の73%以上となり新規感染者数は抑えられつつあります。
今後も油断せずに感染対策をしっかり行っていきましょう。